愛犬や愛猫がシニア期を迎えると、「最近少し太った気がする」「以前より食が細くなった」といった変化に気づくことはありませんか？シニア期の体重管理は、健康を維持し、生活の質（QOL）を向上させるために欠かせない要素です。適切な体重を保つことで、生活習慣病の予防、関節への負担軽減、さらには寿命を延ばす効果も期待できます。
今回は、シニア期の体重管理における具体的なポイントを、食事・運動・筋肉量の維持という観点から詳しく解説します。
■目次
1.体重管理が重要な理由
2.体重管理のポイント
3.体重管理のための具体的な取り組み
4.医療的なサポート
5.まとめ
体重管理が重要な理由
体重は、健康状態のバロメーターであり、特にシニア期には体重の増減がさまざまな病気や体調変化のサインとなることがあります。適正体重を維持することで、愛犬や愛猫の生活の質を大きく向上させることができます。
＜加齢による体の変化＞
シニア期の犬や猫は、基礎代謝の低下や筋肉量の減少が進むため、若い頃と同じ生活スタイルでは適正体重を維持することが難しくなります。代謝の変化は脂肪の蓄積を招き、肥満や生活習慣病のリスクを高める原因となります。
＜筋肉量の減少とその影響＞
加齢による筋肉量の減少（サルコペニア）は、運動量の低下や基礎代謝の低下を引き起こし、体重管理を難しくする悪循環の一因となります。また、筋肉量の減少は免疫力の低下や怪我のリスク増加にもつながります。
＜関節や生活習慣病への影響＞
体重が増加すると、関節への負担が増え、関節炎や運動障害のリスクが高まります。一方で、体重が減りすぎると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなるため、適正体重を維持することが重要です。
体重管理のポイント
体重管理を成功させるためには、日々の習慣や工夫がカギとなります。以下のポイントを押さえて、健康的な体重を維持しましょう。
＜食事管理＞
シニア期に適した食事は、体重管理の基本となります。
・食事量の見直し：年齢、体格、運動量に応じて適切な食事量を設定しましょう。
・回数と時間：少量を複数回に分けて与えることで、消化を助け、満腹感を与えやすくします。
・おやつのコントロール：カロリー控えめのおやつを選び、食事のバランスを損なわないように配慮しましょう。
・栄養素の見直し：良質なタンパク質やオメガ3脂肪酸、ビタミンEを含む食事は、筋肉の維持や抗酸化作用をサポートします。
＜筋肉量の維持＞
筋肉量を維持することで、基礎代謝を高め、健康的な体重管理をサポートできます。
・日々の運動の工夫：シニア期でも無理のない運動を取り入れ、筋肉量の維持を図りましょう。
・サプリメントの活用：必要に応じて、アミノ酸系のサプリメントなどを活用し、筋肉の健康をサポートします。
＜適切な運動＞
運動は体重管理だけでなく、関節や心肺機能の健康維持にも役立ちます。
・年齢に応じた運動量：短時間の散歩や室内での軽い遊びを取り入れましょう。
・関節への配慮：柔らかい床材や関節サポートサプリを利用し、関節への負担を軽減します。
なお、当院では、高齢の愛犬や愛猫の健康維持をサポートするため、個別の栄養相談や筋肉量チェックに加え、理学療法を取り入れた運動プランのご提案なども行っています。体重管理に関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
体重管理のための具体的な取り組み
体重管理の基本は、愛犬や愛猫の現状を正確に把握することです。特にシニア期では、体重の増減が健康状態の変化を反映する場合があります。
＜定期的な体重測定＞
月に1回の体重測定を習慣化し、体重の急激な増減に注意しましょう。これにより病気の早期発見に繋がります。
＜日頃の体型チェック＞
体重測定に加え、日常的に体型を目視と触診でチェックすることも重要です。ポイントは以下のとおりです。
・肋骨：僅かに触れる程度が理想的です。触れにくい場合は体重増加を疑いましょう。
・腹部のくびれ：上から見て腰にくびれがあるか確認しましょう。
・横からのシルエット：胸から腹部にかけてなだらかなラインが理想的です。腹部が垂れている場合は肥満の可能性があります。
これらを日常的に実施することで、体重管理をスムーズに進められます。
医療的なサポート
シニア期の体重管理には、獣医師の専門的なサポートも有効です。
＜定期健診＞
血液検査やエコー検査を通じて、体重変化の背景にある基礎疾患を早期に発見できます。腎臓病や糖尿病などのリスクを適切に管理するためにも、年に1〜2回の健診が推奨されます。
＜体重管理に関する相談＞
代謝や運動量が変化するシニア期には、個別の体重管理プランが必要な場合があります。獣医師と連携して、愛犬や愛猫に最適なアプローチを見つけましょう。
＜サプリメントの活用＞
筋肉量維持のためには、アミノ酸系サプリメントが効果的です。獣医師の指導のもとで個々の犬や猫に合ったものを選び、使用しましょう。当院でも、シニア期の犬や猫に適したサプリメントを取り揃えています。
＜必要に応じた検査や治療＞
体重管理が難しい場合、腎臓病や甲状腺機能低下症といった基礎疾患が関与している場合があります。血液検査やホルモン検査を実施し、治療プランを立てることが重要です。
まとめ
シニア期の体重管理は、愛犬や愛猫が健康で快適な生活を送るための重要なステップです。体重や体型の定期的なチェックを習慣化し、健康診断を通じて内臓や筋肉量の変化を把握しましょう。
当院では、体重管理に関する専門的なサポートを提供しておりますので、気になることがあればぜひご相談ください。一緒に、愛犬や愛猫の健康を守る最適な方法を見つけていきましょう。
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