スタッフブログ

犬の血尿について|尿の色がオレンジ色…これは何のサイン?

愛犬の尿に血が混じっていたら「何か異常があるのでは?」と不安になりますよね。「すぐに病院に行ったほうがいいのかな?」と迷うかもしれませんが、たとえ血尿が一度で収まっても、それは愛犬からの重要なサインかもしれません。

血尿は、病気の兆候である可能性が高いので、早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。愛犬の健康を守るためには、早期発見と適切な対処が大切です。

今回は、犬が血尿をする原因や、どのような点に気をつけるべきかについて詳しくご紹介します。

 

■目次
1.血尿とは?
2.血尿の原因
3.よくある疾患
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

血尿とは?


血尿とは、尿に血が混じっている状態のことを指します。

尿の色がいつもと違い、赤やオレンジ色に見えることがあります。また、排尿後にぽたぽたと血が垂れる様子が見られることもあります。

さらに、血尿があるときには、トイレに行く回数が増え、排尿に苦しそうな様子が見られることも少なくありません。

 

血尿の原因


血尿の主な原因としては、以下の疾患が考えられます。

・尿路感染症(膀胱炎)
・尿路結石
・前立腺疾患
・腫瘍
・外傷
・その他、血液凝固障害や中毒など

 

よくある疾患


特に多く見られるのは、膀胱炎、膀胱結石、前立腺肥大です。

<膀胱炎>

膀胱炎は、膀胱内に細菌が感染することが原因で発症することが多く、特にメス犬でよく見られます。細菌が膀胱の粘膜に侵入すると、炎症が起こり、血尿のほかにも頻尿や排尿時の痛みを伴うことがあります。

早期に治療を行わないと、症状が悪化して腎臓に影響が及ぶこともあるため、早めの診察が必要です。

膀胱炎についてはこちらで解説しています

<膀胱結石>

膀胱結石は、ストルバイト結石シュウ酸カルシウム結石が代表的です。これらは、尿のpHバランスが崩れることや、食事の内容によって尿中の成分が結晶化してできることがあります。結晶は最初は小さく、顕微鏡でしか見えないサイズですが、放置されると徐々に集まり、結石となります。

この結石が膀胱の粘膜を傷つけることで、血尿や頻尿、排尿時の痛みを引き起こします。

<前立腺肥大>

前立腺肥大は、特に未去勢の中高齢のオス犬に多く見られます。7〜8歳頃からリスクが高まり、性ホルモンの影響で前立腺が徐々に肥大化します。前立腺が肥大すると、膀胱や尿道が圧迫されることで、血尿が見られたり、排尿が困難になったりすることがあります。

前立腺肥大が進行すると、尿の排出が完全に妨げられることもあるため、早期の診断と適切な処置が重要です。

 

診断方法


血尿の原因を特定するためには、まず尿検査を行い、尿の成分や異常を調べます。さらに、エコー検査やレントゲン検査を用いて、膀胱や尿路、前立腺の状態を詳しく確認し、どのような問題が起きているかを診断します。

 

治療方法


血尿の原因となる疾患に応じて、適切な治療が行われます。たとえば、膀胱炎の場合は、抗生剤や消炎剤の内服によって多くのケースで改善が期待できます。

膀胱結石の場合は、結石の種類によって治療方法が異なります。ストルバイト結石であれば、食事管理によって尿のpHを改善することで溶けることが多いですが、シュウ酸カルシウム結石は外科的に取り除く必要があります。

前立腺肥大に関しては、去勢手術が有効です。去勢によって前立腺が縮小し、症状が改善されることが多いため、手術が推奨されます。

 

予防法やご家庭での注意点


愛犬の健康を守るためには、普段から排尿の様子に注意を払うことが大切です。尿の出方や色、排尿の回数に変化がないかをチェックする習慣をつけましょう。特に、健康な状態での尿の様子を把握しておくことで、異常があったときにすぐに気づくことができます

室内で排尿する場合は変化に気づきやすいですが、散歩中に外で排尿する子の場合は、尿の色や回数の変化を見逃しやすいので、特に注意が必要です。

もし少しでも「いつもと違うな」と感じたら、早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。

 

まとめ


犬の血尿は、膀胱炎や腫瘍など、さまざまな原因で起こることがあります。

初期の段階では、元気や食欲にほとんど影響がないことが多いですが、それでも様子を見ずに、できるだけ早く治療を始めることが大切です。早めの対応が、愛犬の健康を守るための鍵となります。

 

■尿に関連する記事はこちらで解説しています
犬と猫の泌尿器系疾患について解説!┃こまめに排尿時の様子や尿の状態をチェックしよう
犬の慢性腎臓病について┃多飲多尿がみられたら要注意
猫の慢性腎臓病について┃気づいた頃にはかなり進行していることも
猫の尿路結石について|猫がトイレで苦しそう…もしかして尿路結石かも?

 

愛知県名古屋市名東区の上社ペットクリニック
℡:052-776-1010

クリニックの案内はこちらから
クリニックの特徴はこちらから