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犬の慢性腎臓病について┃多飲多尿がみられたら要注意

慢性腎臓病は中高齢のわんちゃんに多くみられる疾患です。症状の1つに体重減少がありますが、加齢のせいと見過ごされがちなため、食欲不振や吐き気が出現したときには既に重症化していることが多いです。
そこで今回は犬の慢性腎臓病について詳しく解説していき、早期発見に役立てていただければと思います。

 

 

■目次
1.犬の慢性腎臓病とは
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

犬の慢性腎臓病とは


腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分を尿として排泄し、体内の塩分やカリウム、カルシウムなどの電解質バランスを調整する重要な役割を担っています。

慢性腎臓病は、これらの機能が長期間にわたり障害され、徐々に機能が低下することで様々な症状が現れる疾患です。

 

症状


症状は、初期ではほとんど出ることがありません。
病気が進行すると、多飲多尿で、色の薄い尿がたくさん出ます。その他、食欲不振、元気がない、体重減少、嘔吐、脱水などが見られます。

さらに、病気が進行し腎臓の機能が著しく低下すると、本来排泄されるべき尿素や窒素などの代謝物が血液中に蓄積されてしまいます。この状態を「尿毒症」と呼び、全身のさまざまな臓器に悪影響を及ぼし、神経症状や意識障害、さらには死に至ることもある非常に危険な状態になります。

 

原因


慢性腎臓病の原因は慢性的な腎臓への負担(尿路結石、感染症など)、免疫異常、加齢による腎臓の機能低下など様々ですが、ほとんどは原因不明です。

 

診断方法


慢性腎臓病の診断には、主に以下の検査が行われます。

血液検査
血液中の尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CRE)、リン、カルシウム、電解質などの値を調べます。近年では、BUNやCREよりも早期に腎臓病を検出できる、SDMAやシスタチンCなどのマーカーも用いられています。

尿検査
尿比重や尿蛋白クレアチニン比などを調べ、腎機能を評価します。

エコー検査
腎臓の形や大きさ、内部構造の異常などを調べます。

 

治療方法


慢性腎臓病は治ることはなく、生涯にわたって付き合わなければならない病気です。そのため治療の目的は、進行を緩やかにし、症状をコントロールすることで、愛犬の生活の質を向上させることです。

主な治療法としては以下が挙げられます。

処方食
腎臓病用の処方食に変えることで、腎臓への負担を軽減することができます。

水分補給
脱水症状を防ぐために、十分な水分補給が必要です。皮下点滴や静脈内点滴が必要になる場合もあります。

薬物療法
血圧を下げる薬(降圧剤)や、吐き気止め、貧血治療薬など、症状に合わせて薬を投与します。

 

予防法やご家庭での注意点


慢性腎臓病は、早期に発見して治療を開始することが大切で、特に飲水量の増加は重要なサインです。

また、心臓病との関連も見逃せません。 心臓病のあるわんちゃんは、腎臓への血流が低下したり、静脈うっ血を起こしたりすることで、慢性腎臓病を発症しやすくなります。さらに、​​慢性腎臓病になると高血圧やリン・カルシウム代謝異常を引き起こし、それが今度は心臓に負担をかけるという悪循環に陥ることもあります。

そこで当院では、トリミングの際に獣医師による無料検診を実施しています。ここから心臓病が発見され、さらに慢性腎臓病も見つかるケースが多いです。トリミングと検診を一度に行うことで、トータルでの健康管理が可能です。

当院のトリミングについてはこちらをご覧ください

 

まとめ


慢性腎臓病は高齢犬の約10%が罹患しているといわれ、決して珍しい病気ではありません。ご家庭のペットに思い当たる症状や不安な点があれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

 

愛知県名古屋市名東区の上社ペットクリニック
℡:052-776-1010

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